「今だから話せる佐藤のコラム 第64号」

「今だから話せる佐藤のコラム 第64号」

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┃◆┃(公社)いわき産学官ネットワーク協会News  2022.06.24
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┃ 「上海レポート」でお馴染みの佐藤忠幸氏より
┃ 『今だから話せる佐藤のコラム』が届きましたのでお知らせいたします。

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中国での会社設立・販路拡大等を支援している、
(公社)いわき産学官ネットワーク協会アドバイザーの佐藤忠幸氏から
「今だから話せる佐藤のコラム 第64号」(初めての海外生活64)をお届け
いたします。

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 漢字の起源
2022年6月22日 佐藤忠幸

 梅雨入りしたとたん急に暑くなり初夏の気候となりました。
 農産物のことを考えると梅雨のない日本なんて到底考えられませんが、急な気候
変化で、有難い様な辛い様な気分です。
 富岡川せせらぎ緑道では、草花を除けばほぼアジサイだけとなりました。
 しかし、アジサイには種類が沢山ありますので、どこのお宅も配置・配色に工夫
して植えて下さり目を楽しませて頂いております。
アジサイにはホンアジサイとガクアジサイの二種があるのはご承知の通りです。
ホンアジサイいうと日本古来の様に思われますが、99%以上は近年の外来植物です。
元々日本古来のアジサイが、江戸時代初期に中国経由ヨーロッパに渡り、ヨーロッ
パで愛され改良されて昭和になって日本へ逆輸入されたものがホンアジサイです。
ガクアジサイは花の周囲に額縁のように装飾花が咲いている種類ですが、私も含め
て多くの方が外来種或いは新種だと勘違いされていたと思いますが、これこそは関
東地方中心に昔から咲いている在来種ですよ。

 今号からは、日本語そして漢字について少々調べました結果を報告させていただ
きます。

【日本語と漢字の起源概要】
 漢字の歴史を調べていたら不思議なことに気が付きました。
天智天皇の時代になって記紀(古事記・日本書紀)が書かれ、これが現在残る最初
の文字と教わっていますが本当でしょうか?未だに信じられません。
 文字は言語を記録するために後から誕生するものですから、どの言語も最初から
文字を伴っていたわけではありません。
現在、世界中の言語数は諸説あって、3000~8000と言われ、かなり多くの言語があ
ることが分かります。
一方で,文字を持っている言語は400程度と言われており,文字を持たない言語の
方が圧倒的に多いことが分かります。
確かに、日本語も言語が生まれた当初は文字を持っていませんが記紀が書かれた当
時には、いわゆる古代文字があったと私は思っています。
 それが白村江の戦いで唐と新羅の連合に敗北してから、朝鮮やベトナムと同様に
漢字を強制的に使わされて今に繋がったのではないかと思います。
 朝鮮やベトナムとの違いは、日本は表音文字として平仮名・カタガナを発明し、
しかも、中国から伝わった音読み発音の他に、日本古代文字の発音を活かした訓読
みも利用したことです。(おかげで日本語を学ぶのには苦労します)
 また海によって中国首都から離れていることによって、ある程度の自由裁量が許
され、古代文字は追放させられたものの、同じ漢字であっても朝鮮やベトナムそし
て中国など他の漢字国家とは違う文明を生んだのでしょう。
 漢字が日本に渡来した由来の前に、いつ頃どのようにして生まれたのかを調べま
した。

【漢字の起源は】
 漢字は4千年近く前に中国で産まれたことは確かですが、明確な年号と場所は不
明です。
その起源は、象形文字から作られ始め、皆の要望により(?)漢字の種類が増えて
きたら形声文字(または表音文字)や会意文字が作られました。
「象形文字」・・・・言葉の意味を形で表した文字。
 例えば「人」は人が右向きの前かがみに立った姿を横から見た姿を描いた文字です。
左側が足、右側が下に下ろした手です。したがって元の形は右側すなわち手の方が
短いのです。
 ある説では2人が支えあっている姿を横から描いたと言われ、「人は一人では生
きて行けません。他の人の助けを借り、あるいは他の人を助けながら生きているの
が人なのだとこの字は私たちに教えてくれているのです」という坊さんがいますが、
これは間違いです。
 同じ「人」でも正面から見た姿を描いた象形文字が「大」という文字です。
両腕と両脚を大きく広げている姿です。「大の字に寝る」はまさにその通りですね。
 余談ですが、大の下に横線を一本引くと「立」という字になりますね。

「形声文字(または表音文字)」・・・・発音を形で表した文字。
 代表が鳥の名前です。
 「クー・クー」と鳴くハトは「鳩」と書き、「アー・アー」と鳴くカラスは「鴉」
と書きます。
またまた、余談ですが、鳩は「キュウ・キュウ」とも鳴きます。
この音「キュウ」を「糾(集める)」に通じることから借用され「鳩首協議」や
「鳩合(糾合)」などという言葉も生まれていますね。

「会意文字」・・・・既存の複数の漢字を組み合わせて別の意味の新しく作られた
文字。
 意味を持つ漢字を組み合わせると、別の意味を持つ漢字になります。
 例えば「休」「見」「森」などがこの会意文字です。
「人」+「木」で「休」を表します。
人が木に寄りかかって休むことから「やすむ」の意味を表す字として作られたとさ
れます。
「目」+「儿」で「見」を表します。
「木」+「木」+「木」で「森」を表します。

【三千数百年にわたる漢字開発の歴史】
 漢字の字形は時代と共に変遷を繰り返しており、今でも止まりません。
その歴史を開発順序にしたがって簡単に記します。

「甲骨文(甲骨文字)」・・・・紀元前14世紀頃から、亀の甲羅(背中の甲羅で
はなく平らな腹部)や牛の肩胛骨などに、占いの内容や神様のお告げに対する王様
の宣誓や判断などを刻み付けたものです。
 正式には亀甲獣骨文字と言い、最初のころは獣骨を用い後に亀甲が併用されるよ
うになりました。
甲骨を焼くと表面に縦横の亀裂が入るのでその形で吉凶を占ったのです。
この時の亀裂の形を描いた文字が「ト」で「うらない」と訓読みします。音読みの
「ボク」は熱で亀裂が入る時の音「ボクッ・ボクッ」からとったもので、「占」と
いう文字の上部です。
甲骨の最大出土地は河南省で、私も河南博物院に行ったとき多数拝見でき幸運でした。
(ちなみに、博物院は、博物館の最上位のものを表す言葉。中国にはそれが4つあ
り中国四大博物院と呼んでいる。北京の故宮博物院、台北の故宮博物院(中国では
台湾も中国)、南京博物院、そして河南博物院である。私は、幸いなことにこのす
べてを拝観した。)
甲骨はかなり前から農民により発掘されていましたが、残念なことに価値を知らな
い農民は大部分を捨ててしまったそうです。

「金文(鍾鼎文字)」・・・・青銅器に鋳込んだり刻んだりした銘文として記され
た文字です。
 青銅器と言っても日用品や庶民が使用したものではなく、銘文があるのは祭祀用
の青銅器です。
なお時代的には甲骨文がやや先行しているものの、ほぼ並行しています。

「篆文」・・・・秦の始皇帝が天下統一(紀元前221年)をした時の「同文同軌」
政策によってつくられた字形です。
 それまでの漢字の字形は国々によってバラバラのため、始皇帝は天下統一を示す
事業として字形の統一に乗り出したわけです。
ちなみに、現在使われている日本の紙幣の表に、朱色で印影風に描かれている「総
裁の印」という文字が「篆文」です。

「隷書」・・・・篆文をさらに書きやすくした簡易字形です。
 秦代の下級役人の程?(ていばく)が作ったとされる文字で、様々な記録を手際
よく書くため考案したという説もあります。
一方、程?が罪を犯して牢獄に入っているとき隷書三千字を考案し始皇帝に献じた
ところ、皇帝のお気に召され罪を免れたという説もあります。
 いずれにしても、隷書が篆文から大きく飛躍し読みやすく書きやすくなり現代文
字に格段と近づきました。
 日本紙幣に篆文の印影が描かれていますが、その近くに書かれている「日本銀行
券」の文字は「隷書」の字形です。

「楷書」・・・・字形の歴史ではもっとも後になって作られた字形です。
 隷書が変化する過程で、おおよそ3世紀中頃から書かれるようになったと考えら
れます。
はっきりと整理された点画の表現や折れ曲がり方が特徴で、7世紀「唐」の時代に
は美しく完成されました。
 楷書が生まれた背景には後漢時代中期に蔡倫(さいりん)が紙を発明したことが
大きく影響していると言われます。
つまり、隷書は竹簡・木簡に字を書くのに適した字形であり、楷書は紙に書くのに
適した字形という訳です。
 現在では、この楷書がもっとも広く流通している字形(書体)で、中国でも日本
でもこれを基に、紙だけでなく媒体の変化や生活・文化の発展によって様々な形に
変化しているのはご承知の通りです。

 中国の漢字の歴史についてはこれぐらいにして、日本語の歴史はどうなのか、漢
字がなぜ日本に渡ったのか、などを引き続き調べてみたいと思います。

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