「今だから話せる佐藤のコラム 第62号」

「今だから話せる佐藤のコラム 第62号」

┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◆┃(公社)いわき産学官ネットワーク協会News  2022.04.27
┣━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┃ 「上海レポート」でお馴染みの佐藤忠幸氏より
┃ 『今だから話せる佐藤のコラム』が届きましたのでお知らせいたします。

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

中国での会社設立・販路拡大等を支援している、
(公社)いわき産学官ネットワーク協会アドバイザーの佐藤忠幸氏から
「今だから話せる佐藤のコラム 第62号」(初めての海外生活62)をお届け
いたします。

==========================================================================

 禍転じて福を呼べ
2022年4月27日 佐藤忠幸

 4月も気温変化が激しく老人にはきついですね。
 その中でも、桜が孫の入学式に満開で幸いでした。
 富岡川せせらぎ緑道では、サツキやツツジが色とりどりに咲き始め華やかです。
サツキは漢字で「五月」とも表すことでお分かりの様に5月がピークの花ですが、
ここらでは狂ったように咲き始めました。
5月になったらどうなりますかね。
 5月というと鯉のぼりを思い出しますが、あちらこちらの軒先に飾られ嬉しくな
りました。
 木では、紅シダレモミジが真っ赤に色づきました。
モミジの紅葉は秋ですがこの種類だけは初夏が華やかです。
ベニシダレは我が家にも30数年前からあり、毎年初夏を楽しみにしています。
 ところで、近くのお寺や神社のボタン(牡丹)は今が盛りとなり、あちらこちら
で鑑賞会をしています。
またお隣さんは趣味でボタンを一生懸命育てており、立派に咲き揃いアッパレです。
ボタンというと「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」
「シャクヤクのように風情があり、ボタンのように華麗で、ユリのように清楚」と
いう、女性の美しさを形容することばを想い出させる名花です。
 この花は奈良時代に中国から伝えられたようです。
弘法大師が留学先の中国から持ち帰ったとも言われていますがどうでしょうか?
 中国でボタンは、新年を祝う花として特に上流階級に愛好されています。
日本の菊・桜と同様に国花だとも言われていますが実際は定かではありません。
近年になって正式に国花を決めようとしていますが、牡丹の他に蓮・菊・梅・蘭な
どが候補にあがりどれにするかもめているようです。
 なお、中国では漢字は「牡丹」と日本と現在も同じですが、当然読み方は「m?dan」
と全く違います。
 日本は花と一緒に「牡丹」と言う漢字も輸入し、それを日本流に音読みしたのが
ボタンですから、中国でボタンと言っても通じませんよ。
 なお、富岡川せせらぎに戻った亀は元気です。
以前戻った亀は昨年いた亀とは違うと報告しましたが、4月に見た亀は昨年の亀です。
甲羅についた傷跡の形でわかりました。
昨年盗んだ人に事情があって戻したのでしょう。
事情はなんであれ、今後は盗まないようにして欲しいものです。

 今号も、私が2005年から行っていたコンサルタント関連の内容を、現代流に
少々アレンジして報告させていただきます。

【景気回復は遠い?】
 コロナ感染拡大により冷え込んだ景気が回復し始めたと思ったら、ロシアのウク
ライナ攻撃により全く見えない状態に落ち込みました。
 コロナを抑え込んだと思われた中国でまたまた感染拡大しております。
習近平国家主席の「我が国の経済発展と感染症対策世界トップの地位を保ち・・・」
という自賛を裏付けるためにも絶対に抑え込もうとして、上海などは都市封鎖を一
カ月近くしています。
 上海にはお世話になった方が多数おられますが皆さん悲鳴をあげています。
ある方は、職場は上海市ですが自宅が市外地のため、職場に通えません。
数日間ならリモートでもできますが数週間となると・・・・。
しかも顧客への訪問も出来ません。
 市内に住んでいる方も、外出も買い物も出来ないと嘆いています。
マンションの敷地から出られず、感染状況によっては部屋から一歩も出られない日
もあるという生活が数週間も続いています。
 中国のゼロコロナ政策は、日本のようなウイズコロナとは大きく異なることがお
分かりでしょう。
どちらが良いかは政治思想に関わる話題ですので取り上げませんが・・・。
 何れにしても、先の見えない大不況の最中、経営者の皆さんは対策に必死だと推
察いたします。
しかし、企業体質を変えるには今がチャンスです。
景気回復は1年後だという方もおられますが、私の見方では(学者ではないので当
てにはなりませんが)悲観的です。
 政府は経済回復を意識し賃上げを強く推進し、大型の景気浮揚予算を組んでいま
すが、それだけで急激に内需が拡大するとは思われず、投資と輸出の減退を補うの
には相当な期間が必要でしょう。
 企業は、今はバタバタせず、数年後を見据えて企業体質強化に取り組むことをお
勧めいたします。

【しつけと仕組作りで心機一転】
 企業体質強化への取り組み第一歩は、5S運動の推進だと思います。
 5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つです。
運動の詳細と推進方法については後に報告しますが、今やるべき最小限のことにつ
いて報告いたします。
5S運動はアメリカで産まれ日本で育った運動で、躾(しつけ)が良く時間を守る
習慣がある日本人とも合って1960年代からの高度成長を支えてきました。
したがってどの企業でも5S運動をするのは当然なことであり、色々な運動を加え
て6S運動とか7S運動などと称して頑張っている企業もありました。
しかし、2000年代になると、お題目を唱えるだけで基本を忘れている企業も目
立ってきました。
 日本の美徳・伝統は躾(しつけ)の良さでしたが今は夢物語ですね。
伝統ある有名企業でさえも不正が横行していると毎日の様に報道されています。
 先週4月22日の新聞報道によると、大手電機メーカーA社では、昨年鉄道車両
向け製品などで不正検査が発覚し、弁護士などで作った調査委員会が昨年7月から
今年4月までの予定で全国の生産拠点を調べています。
その過程で今年3月になって大型変圧器の一部で、40年前から規定と異なる性能
検査を行い、検査データも虚偽数値を成績書に記載し続けているということが発覚
しました。
 私が驚嘆したことは、40年間も不正を続けていたことと、調査委員会が各生産
拠点を調べ始めても不正を続けており、見つかって初めて止めたということです。
これは、不正検査をすること虚偽データ記載などは、A社の規範では当然なことで
あり、それは次世代に引き継ぐべき悪しき伝統だったということでしょう。
 引き継ぐべき伝統は「しつけ」であるべきですが、推進役たる経営者にもしつけ
が無いのですから難しいですね。
5S運動特にしつけを厳しくやると窮屈に感じて辞められないかとおっかなびっく
りで取り組んでいた会社もあるでしょうが、5S運動の推進は今がビッグチャンス
です。
なぜなら、今なら転職先も少なく、会社の方針についてくる者が多いからです。
 外出もままならない現在、禍転じて福を呼ぶべく、じっくりと取り組んでください。      
 5S運動その他の仕組作りも同じです。
 過去の悪習を排除し、心機一転やり直すチャンスです。

【お手本とならない親会社】
 私は2005年から主に中国で社員教育と5S運動の指導をしてきました。
特に力を入れたのが5S運動の推進です。
しつけが悪く、時間を守る習慣もない当時の中国においては、日本以上に5S運動
は難しいが絶対に必要だと思ったからです。
 上海や蘇州で人材会社等数社の協力を得て日系企業の社長や幹部を集め、無料セ
ミナーを毎月の様に開催し5S運動と幹部教育の重要性を訴えました。
そのおかげにて、日系企業の実態をつかめ、多数の企業とコンサルタント契約がで
きました。
 ある時、日系製造企業B社で、社長と幹部教育の打合せをしていたら、予告なし
来客のおかげで打合せが一時中断となりました。
 中断理由は、B社の日本の親の又親会社の中国子会社C社の日本人幹部が突然5S
見学に来たからです。
B社は日系商社の子会社ですが、親商社の親会社は超大手重機製造会社です。
製造会社の子会社商社が中国に製造子会社を作ったという複雑な関係です。
 C社の幹部は、同じグループのB社の前を通った時に、B社の5S運動が立派だと
いう評判を思い出して「孫会社それも商社の工場経営なんてどうってことはないだ
ろう。でも話のタネに見てやろう」という軽い気持ちで突然立寄ったわけです。
ところがB社の5S運動は、C社よりはるかに立派に推進しているのに驚いて「後
に見学団を連れてきてよいか」とお願いして帰られたそうです。
 B社の社長は、最初C社の突然の訪問に怒っていましたが、褒められ感心された
ことを思い出して喜んでおられました。
「商社の工場経営なんて無理だ」と言われたくないと、親会社をあてにせず、社長
自ら懸命に勉強し努力をした成果が徐々に実ってきたというわけです。

 企業と言う大組織はお題目だけ掲げても何事も出来ません。
経営者がお手本となり推進役とならない限り、お題目は単なるお題目で終わります。
昨今の大企業の姿を見ているとそれを痛感します。

 5S運動の詳細と推進方法はまたの機会に。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃発行元:公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会(ICSN)事務局  
┃住  所:〒970-8026 福島県いわき市平字田町120番地
┃     LATOV6階 いわき産業創造館内
┃TEL : 0246-21-7570     FAX  : 0246-21-7571
┃E-mail : iwaki-sangakukan@bz01.plala.or.jp 
┃URL  : https://iwaki-sangakukan.com/
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃※配信の登録、及び解除については、こちらからどうぞ↓
┃ http://www.iwaki-sangakukan.com/m_magazine/
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━